「…オレはもう、諦めたから。波を応援するよ。」


波の目を見るのが怖かった。多分、波はオレの気持ちなんかわかっちゃうんだろうな…


「お前はいいの?それで…」

「いいも何も…迷って決めたことなんだ。いっぱい迷ったんだよ、オレ。」

「なんか、わかる。チミは不器用だからね。」


オレと波は笑う。


「波、応援する!」

「……おう。…じゃあ、行くわ。」


部屋を出ようとする波を、もう一度呼び止めた。


どうしても聞きたいことがあった。

「中学んとき、好きなヤツいたって言ってたじゃん。…あれって誰?」


波の全てが止まったように見えた。






「……それは…」

「ごめん!聞いちゃまずかった!?」

なんてオレはデリカシーのないやつなんだ。


「…気持ち、落ち着いたら言う。…ちゃんと。」


今にも何か言いたそうな顔している波に、うなづく。