2月の寒い夜


「慎也、どこ行くの?」

玄関で靴を履くオレに母親が呼び止めた。

「ちょっとコンビニ。…なんかいるもんある?」

「ううん。大丈夫。…気をつけて行ってきてね。」




波と何かあったことを母さんは知ってる。
でも、そこまで聞いてこなかった。



歩いて15分、目の前にはコンビニ。

けど、その近くのバス停には…

そう思ったときには、
体は走って、口は彼女の名前を呼ぶ。



「戸野さん!!」


戸野さんは、オレを見つけた。





近くの公園で少し話をした。

「バスの時間大丈夫?」

「うん。」

「呼び止めてごめんね。…久しぶりで懐かしくて。」


「そうですよね。」


呼び止めたのはいいけど、何を話したらいいかわかんなくて、黙ってしまう。