『恋をした…』


昨日、慎也から聞いた言葉。
この言葉を聞くたびに、胸の奥が苦しくなる。

中学のときだってそうだった。
ひとめぼれをするくせに、奥手で喋りもしない。

だから、その隙に俺が邪魔をする。

たいていの女は俺を好きになって、慎也は諦める。


これが、アイツの恋愛だ。


今回も心配していない。

…けど、何か引っ掛かる。


「ねぇねぇ、小和田くん。」

窓から外を眺めていた俺に、同じクラスの川端 翔子が話しかけてきた。

「…何?」

「小和田くんさ、部活入ってなかったよね?」

「入ってないよ…勧誘ならよしてよ。部活には興味ないし、帰りたいから。」

「そうじゃなくって…放課後さ、…裏口玄関に行ってほしいんだけど…」

嫌な予感…

「なんでよ…」

「それはー…言ってからのお楽しみ!…頼むよ!行ってよ!…絶対だよ!」

「はぁ…」

ため息…ため息…ため息。