「兄ちゃん好きだったもんなぁ。俺もそれでやり始めたんだもん。…ごめんな、沙知美。お前から兄ちゃんとったの俺らだから。再婚なんてしなきゃよかったんだよ…」



始めてこんなに喋った。


自然と涙が出てきてしまった。

「違う。奪った、のは…智衣さん達じゃない…ごめんなさい、ごめんなさい。」

「沙知美?どうした?…もうこんなんツラいか?」

わたしは首を横に振る。

「…ずっと、誤解してたから。お兄ちゃんのことばっかりで…」


涙があふれてくる。

この人も、わたしのお兄ちゃんだった。

「泣くな…俺のことはいいんだ。大丈夫…」


智衣さんの手は、温かくてすごく安心した。




もう、傷をつくってはいけない。

笑顔をとったらいけない。



「お義兄ちゃん…ごめんね…」


智衣さんは笑顔で優しく抱き締めてくれました。