慌てて謝ろうと思うと、戸野が缶を口にあててたときだった。


一口飲んだ。
なぜか、戸野の口元を見てしまった。




その瞬間、体が熱くなっていくのがわかった。


「波?…どうした?」

「ん!?…何でもない!」



最近、戸野を気にして見ているのは自分でも気付いてはいた。


「あ…そうだ!小和田くん…今日、部活ありますからね!」


戸野が近付いてくる。

顔がまともに見れなかった。

「…うん。」


ほとんどの部活は、6月で3年は終わりだった。でも、文化部の一部を除いては、11月に終わるものもあって、写真部はその一部に入る。



だから、帰りはほとんど戸野と帰ることが多かった。





この季節の6時ごろは、辺りが薄暗くなっている。


隣には鼻歌を歌っている戸野。鳥がついた鞄を元気よく振って、俺の一歩前を歩く。


「なぁなぁ、戸野。」

聞こえてないのか返事はない。


後ろから自転車のベルが鳴る。

俺は避けたが、戸野はまったく気付いていなかった。