「波ぃ~!」

波の部屋の窓に向かって小声で呼ぶ。

窓が開く。波が顔を出す。

「なに。」

「ごめん…寝てた?」

「寝てた。」

寝起きの波は、機嫌が悪い。
でも、早くこのことを伝えたくて…

「すぐ終わるから聞いてくれる?」

「はぁ~?…なんだよ…短めにね。俺眠いから。」

「うん。あのね…オレね、……恋をした…」

その言葉に、波は驚いた様子だった。

でも波がこのときどんな気持ちでいたか、オレは知らない。

ただ、オレは言えたことの嬉しさと恥かしさで、自分のことしか頭になかった。