久しぶりに外に出た。


たった一週間ぶりなのに、新しい世界に来たみたいだった。


「あの…わたしなりに今日、予定決めてきたんです。」

手帳を出して確認する。

「…お前の服買うの?」

「はい!だから、いっぱい持ってきた!」

おばさんみたいなでかい茶色い財布を振る。
小銭がジャランジャランと鳴った。



仕方ない。
付き合ってやろう。



俺たちは、市内にあるショップへバスに乗って行く。



バスの一番後ろに座る。

窓の外を見ると、俺と同じ高校の生徒が歩いていた。

サボったのか、早退したのか、彼の顔は笑顔だった。


実際、俺は楽しみで学校に行ったことがない。

慎也には、家で会えるし…学校に行くのに意味はなかった。



「みんな待ってますよ!」

それを見ていた俺に、戸野が気付いた。

「荒谷くんなんて、寂しい寂しいってひどいくらい。」

「アイツ慎也の友達じゃん。…オラの友達じゃない。」

「もう…すぐそうやってひねくれたこと言うから……荒谷くんが心配してるのは本当なのに…」

「ひねくれ者だもの。」