家に帰るころには、雨はやんでいた。

玄関のドアを開ける。
そこには旅行から帰ってきた母親がいた。


濡れてる俺に少し驚いてた。

「今…学校から連絡あって、慎也くんとケンカしたって本当?殴ったって…」


喋る気にならない。


濡れてるまま玄関に上がる。

「どうしてケンカしたの?…百合ちゃんになんて言ったらいいのよ…」


最初に殴ったきたのは慎也だ。

そんなことも、この人を目の前にすると言う気がしなくなる。


「学校だって無断で帰ってきたんでしょ!?…波!」


無視して階段を上る。


「波!ちょっと待ちなさい!」

俺の腕を引っ張った手を振りほどく。


「さわんな。」

「えっ…」

「その汚ねぇ手でさわんなよ!」

「波…」

「…知ってんだぞ、男と会ってることも…旅行だってそいつと行ったんだろ!?」

「…それは…」

「そんなやつに説教くらいたくないんだよ…」


母親は黙ってしまった。


俺は部屋へと急いだ。




こんな自分もうやだ…