6時を過ぎてしまった。


玄関に急いで行くと、戸野さんが待っていた。


「ごめん、戸野さん!少し長引いちゃった。」

「いえいえ、全然。」

オレは靴を履き、戸野さんと並んで歩いた。




「里山くんと会うの、なんか久しぶりな感じがしますね。」



痛い…



オレは常に戸野さんを見てるから、会ってないなんて思ったことがなかった。


けど、戸野さんはそうじゃない。
オレを見てはなかった。

だから、会ってないなんて言えてしまう。



痛い…



「…オレは…オレは、毎日戸野さんのこと見てるから、久しぶりって感じはしないかな?」



たまに意外な言葉を発している自分がすごいと思う。


恋の力は偉大だ。


戸野さんは少し、照れて下を向いていた。


「あと…」