「戸野、さん…だっけ?」

後藤は、夏に会った戸野のことを覚えていた。

「あ!すいません!勝手に入って来て…」

戸野は後藤にお辞儀をして謝る。

「ムード台無し!…せっかく、波の好きな人聞こうと思ったのに…」

少し笑いながら後藤は言う。

「でもいいや!…泣いたらスッキリしたよ、あきらめる!…波、今までありがと!!」


「…ごめんな…」

たくさん傷つけた。

たくさん泣かせた。

たくさん悩ませた。



「波よりかっこいい人見つけてやるからね!…バイバイ…」

そういうと後藤は来た道を戻っていった。


「ごめんな!」


多分泣いてるんだろう…

肩が震えてた。


後藤は、大きく手を振った。




「で?」

戸野を見る。