「入んねーな…小和田!もうちっと前に出て。」

「俺?」

波は前に出る。
戸野さんの隣に並んだ。

オレは、戸野さんの後ろ。


「みんなもうちょっとくっついて!」

徳田が手で合図をする。


戸野さんと波の腕がくっつく。

オレは気がきじゃない。


「よし、行くよー!」



そのとき波が…


戸野さんに顔を近付けた。


「ピースしろよ。」






「はい、チーズ!!」

シャッター音と写真の出る音。



「すごい!楽しそうじゃん!」

「なんか仲いいって感じ!」

長谷部の言葉に小島も嬉しそう。


「慎也、お前何これ。」

オレのオレは、あのとき見てしまった行動に動揺を隠せなかったときの表情。


不細工…



「ヤバイよ。」

「荒谷うるせーよ。…不意打ちだよ、不意打ち!」



「波!写真…」

次の生徒が波を指名した。


「わかった!…じゃな、慎也!」

「…うん。またな。」



来なきゃよかった…


写真の戸野さんの笑顔が痛い。