夏以来、あまり会わなくて今日、久しぶりに自分から波を誘った。


「こうやって帰んの久しぶりだよね…」

「ああ。」

「…明日の文化祭楽しみだなぁ~…あ、後夜祭出る?」

「まぁ一応…友達、バンドやるし。」

「へー…」


沈黙。
スタスタと歩いていく波。


「……この前はごめん!」

波は止まって振り返る。

「話したくないこともあるよな。オレもあるし…聞こうとしてごめん。」

「いいよ、謝んなくて。別に怒ってないし…」

「本当に!?」

「ホントホント。」

「なんだよー。オレめっちゃ気まずかったんだから。」

波は笑った。


「なぁ、波……オレ、明日告うわ。…戸野さんに。」





「……何を?」

目をそらした。

「好きだって。…もうさ、もう…抑えきれなくて…不安になったりするなら言って、オレの気持ち分かってもらった方がいい。それに楽になるし。…もし、波も同じ気持ちなら…逃げないでほしい。」

「…前から言ってんじゃん。俺はなんとも思ってないって……頑張れ。」

「うん。頑張る。」


そう言って、また歩いた。



波の顔をうかがいながら、少し複雑で…



なんか…淋しかった。