揺れがおさまって、顔をあげる。




近っ……



戸野との顔の距離が5cm。






「……キモっ!…ありえないありえない!!」

そう言いながら戸野から離れる。

「…ひどいです。」

「お前が揺らすからだろーが!!」

「だって!…虫がいたんですもん…」

「虫ごときで驚くなよ!!」



ありえない…



なんだこの緊張…


多分、揺れたからだ。


でも変だ。

目が戸野を見てしまう。



だってよく見たら、まつげは長いし、顔は小さいし、女の子だと思ってしまった。


「あの、倒せます?」

毛虫みたいな虫を指差して戸野は言った。


「…お似合いだよ。虫と結婚したら?」

その言葉に、眉間にしわを寄せた。


回ってる間無言が続いた。