─10月27日─


駅につくとベンチにはもうすでに涙の姿があった。

僕は少し焦りながら涙のもとへ小走りで向かった。


「ごめん、遅れたっ」

「あ、空希だー」
「おっそいよー!」

「ごめんてば」
「なんか露店の奢るから許して」


その言葉を聞いた瞬間、涙の目が輝いた。


「許します!」

「食べ物の力すげえ」

「うるさいです」


すると涙は僕の手を引いた。

連れて行かれる先はなんとなく予想がついたので僕は涙の手を握り返して涙より1歩手前に出た。


「僕、涙の彼氏なんだよ?」
「リードするのは彼氏の役目だろ?」


そして僕は涙の手を引いて露店の方に向かった。