「呼び捨てなんて・・・恥ずかしいよ・・・っ」

「じゃあ僕も涙のこと名前で呼ばないよ?」

「でも・・・っ」


そんな僕らのやり取りを時耶達は少し呆れた様子で苦笑した。

そして気を利かせるようにその場から去った。

去り際に時耶が僕の耳元で呟いた。


『男がなにヤキモチ妬いてんだよ』


時耶は悪戯ぽく笑っていた。

僕はその態度でさらに苛々が増す。


「ほら、言ってよ」

「そ、そぉ・・・ら・・・」

「何?聞こえない?」

「そら・・・き・・・」


やっと僕の名前を口にした涙は自分の手で顔を覆い隠す。


「よくできました」


僕がそう言うと涙は恥ずかしそうに指の隙間から僕を見上げた。

その仕草が可愛くてしょうがない。

さっきまでの不快な気持ちはどこかへ消えていった。



「涙、言っとくけど僕意外と独占欲強いかもよ?」