そう意気込んではみたものの、実際には思った通りにはいかなかった。薫に止められたからだ。二度寝をし始めてから1時間も経たないうちに翔ちゃんも起きてきてしまった。
結局、昼食は薫がつくることになり、夕食は翔ちゃんがつくってくれた。
翔ちゃんは兎も角、悔しいことに薫の手料理も美味しかったため、あたしは今、非常に機嫌が悪いのである。
「沙苗ちゃん、まだ怒ってるの?」
夕食を済ませ、入浴も済ませ、仮眠もとりただいま日付がかわって深夜である。
助手席をあたしにすすめて後部座席へと乗りこんだ薫が運転席と助手席の間に身をのりだしてきた。
「別に~?怒ってないけど」
「怒ってるじゃん」
「ふたりとも、シートベルト」
運転席へと乗りこんだ翔ちゃんがエンジンをかけながら言った。
エンジンが入ってから流れてきた歌は、少し前まであるCMに使われていたものであたしのすきなものだった。
反してシートベルトは昔から嫌いだった。首のところでこすれて痛い。はまるときのカチッという音はすきな方なのだが。
「聞いてよ、翔ちゃん。沙苗ちゃんてばまだ拗ねてるんだよ」
「………さな、なんで俺と薫がすごい勢いで止めに入ったか、わかる?」
「わかんない!」
「危なっかしいんだよ…包丁なんか持たせたら特に。見てらんない………」
「そ、そこまで言う……」
ふざけた調子で話をふった薫とは違って翔ちゃんの反応は真剣なものだった。まさか、ここまでハッキリ言われるとは。
ショックだ………。
翔ちゃんは思ったことをなかなかハッキリとは言わない。もちろん言うときは言う人だが大抵は言葉を選んでいる。オブラートに包んだような言い方というか、できるだけ優しい言い方を選んでいるように思う。
その翔ちゃんにそこまで言わせたのだ、へこまない方がおかしい。
「え、沙苗ちゃん?なに、怒ってたと思ったら今度は急にへこみだしたの?」
「あたしが実家にいたときは料理なんてしてくんなかったのに…薫の裏切り者」
「料理くらいやろうと思えばできるよ、普段しないだけで。家庭科とかでやったでしょ?調理実習」
「調理実習でスパゲティなんかつくんないじゃん!」
「いや、できるでしょ、誰だって。スパゲティくらい」
できなかった人間がここにいるんですがね。
結局、昼食は薫がつくることになり、夕食は翔ちゃんがつくってくれた。
翔ちゃんは兎も角、悔しいことに薫の手料理も美味しかったため、あたしは今、非常に機嫌が悪いのである。
「沙苗ちゃん、まだ怒ってるの?」
夕食を済ませ、入浴も済ませ、仮眠もとりただいま日付がかわって深夜である。
助手席をあたしにすすめて後部座席へと乗りこんだ薫が運転席と助手席の間に身をのりだしてきた。
「別に~?怒ってないけど」
「怒ってるじゃん」
「ふたりとも、シートベルト」
運転席へと乗りこんだ翔ちゃんがエンジンをかけながら言った。
エンジンが入ってから流れてきた歌は、少し前まであるCMに使われていたものであたしのすきなものだった。
反してシートベルトは昔から嫌いだった。首のところでこすれて痛い。はまるときのカチッという音はすきな方なのだが。
「聞いてよ、翔ちゃん。沙苗ちゃんてばまだ拗ねてるんだよ」
「………さな、なんで俺と薫がすごい勢いで止めに入ったか、わかる?」
「わかんない!」
「危なっかしいんだよ…包丁なんか持たせたら特に。見てらんない………」
「そ、そこまで言う……」
ふざけた調子で話をふった薫とは違って翔ちゃんの反応は真剣なものだった。まさか、ここまでハッキリ言われるとは。
ショックだ………。
翔ちゃんは思ったことをなかなかハッキリとは言わない。もちろん言うときは言う人だが大抵は言葉を選んでいる。オブラートに包んだような言い方というか、できるだけ優しい言い方を選んでいるように思う。
その翔ちゃんにそこまで言わせたのだ、へこまない方がおかしい。
「え、沙苗ちゃん?なに、怒ってたと思ったら今度は急にへこみだしたの?」
「あたしが実家にいたときは料理なんてしてくんなかったのに…薫の裏切り者」
「料理くらいやろうと思えばできるよ、普段しないだけで。家庭科とかでやったでしょ?調理実習」
「調理実習でスパゲティなんかつくんないじゃん!」
「いや、できるでしょ、誰だって。スパゲティくらい」
できなかった人間がここにいるんですがね。