真っ青な空が広がる、そんな夏の日。俺は教室の机に突っ伏し、睡眠学習をしていた。


「であるからして〜」が口癖の、クラスのやつらから陰口を叩かれている歴史教師の演説をBGMに俺は外を見る。


(……あいつ、今日はこの時間なのか)


外を見ながら考えるのは、2週に一回のペースで、1時間だけ姿を消すクラスメイト。


誰よりも細く、誰よりも小さいそいつが、俺はとても気に入っている。

入学当初、ぶっきらぼうな話し方で中々人に声を掛けられなかった俺は、教室までの道のりが分からずにいた。


『大丈夫ですか?』


あいつにとっては何気ないことだったのだろう、同じ新入生なのにやけに大人びていて、気付けば俺はそいつから目が離せなくなっていた。


幸いなことに、そいつとは同じクラスでことあるごとに俺はそいつとつるんでいた。


不意に教師が教科書を閉じ、小さく咳払いをした。その咳払いで現実に戻された俺は腕時計を確認し、終了1分前であることに気付いた。


「今日の授業は此処まで、週番挨拶!」


「きりーつ」


重い腰を上げ、週番の挨拶と共に再び机に突っ伏す。すると、教師と入れ違いに教室に入ってくるあいつの姿が目に入った。


(放課後、聞いてみるかな)


心で呟き、本格的に眠りに付いた。