一緒に暮らす…誰かと一緒に?


改めてその意味を考えてみた。


誰かと暮らしたのは…あの人達だけだった。


暴力の日々…


『泣いてんじゃねーよ!おめーみてーなガキじゃまなんだよ!』


『あんたが居るからあの人はいつも苛々してるのよ。産まなきゃよかったよ!』


「美空?みーくぅ!!」


目の前で手を振ってる慎司が目に入った。


「美空?大丈夫?」


「あっ、ごめんなさい…考え事しちゃって…」


「ちょっと電気付けるよ……美空!顔が真っ青じゃないか?!気分悪いのか!?」


「ちっ、違うの!嫌なこと思いだしただけだから…だから大丈夫」


美空はこんな時に思いだした二人に嫌悪感があふれ出した。


いてもたってもいられなくなり


「もう21時すぎちゃったし私帰るね。明日はお互いに仕事だもんね」


バッグを勢いよくとり出口へと向かう。


「美空!!どうしたんだ!!なにがあった!」


腕をつかみ顔をのぞき込む慎司は不安そうだった。


「ごめんね、また私……」


「何を聞いても俺の気持ちは変わらない。美空が1人で抱えて辛いなら話して欲しいんだ。辛さを分けてほしい…美空…」


慎司さん…なんでそんなに優しいの?


慎司さん…


俯く私の手を引きソファーに座らせる。