美空の頭をそっと撫でながら慎司は呟いた。


「美空、いつか、その彼のお墓参りに一緒に連れて行ってくれないか?」


美空は涙で濡れた顔を慎司に向けた。


その表情は驚きでいっぱいだったが、徐々に微笑みに変わり小さな声で返事をした。


「…うん…」


慎司は美空の顎をそっと上向かせ、その可愛らしい唇にキスをした。


初めてのキスのようにそっと…


「何だか少年に戻った気分だよ。クスクス」


慎司は満たされていた。全てを自分のものにしたい衝動もあったが、それよりも美空を大切に大事にしたかった。


「それって…私が…子供っぽいといってるの?」


今は泣きやみ落ち着いてきた美空はいつものように反撃体制になってきている。


慎司は内心ホッとし、美空とのこういうやりとりが好きで楽しかった。


「さぁなぁ~。ただ俺は少年の気分に戻ったようだといっただけだよ。クスクス」


「それがまさしくバカにしてるっていってるんじゃない!」


抱き締めてる腕の中から逃れようと身動ぎする美空をギュッと力を込めて抱き締める。


「可愛いと思ってるんだよ。俺だけのお姫様」


美空は身動ぎをやめ


「…バカ…」


と一言呟いた。