朝食後、私は急いで仕度を済ませ、今は慎司が運転する車の助手席にいる。


慎司はスーツだったため、一度着替えるといい慎司のマンションへと一緒に向かっていた。


「意外に慎司さんのお家と近かったのね…」


車で10分ほどの高級マンション。


「そうだな、俺も昨日分かってビックリしたよ。こんな近くにいたんだって」


そっと手を握ってくる。


「美空も降りて。コーヒーぐらいはだせるよ」


ウインクする慎司にまだ夢でも見ているのではないかと思ってしまう。


そのまま手をつないで広いエントランスを通りエレベーターで慎司の部屋へと向かった。





今日で二度目の慎司の部屋。


あの時は具合も悪く、逃げるように飛び出してしまったためにどんな部屋なのか全然覚えてなかった。


「お邪魔します」


そっとぎこちなく入ると目の前でクスクス笑う慎司と目があった。


「むさっくるしい部屋ですがどうぞ、お嬢様」


「もう、からかわないで…」


玄関を抜けると一面ガラス張りで外の景色が一望できる。


「うわぁ、すごーい。」


外の景色に吸い込まれるように近づいていく。


23階からみる景色は最高だった。夜景なんていったらもっと素敵だろう。


「気に入ったかい?」


隣に立つ慎司の手にはマグカップがあり、一つを渡される。


「昨日の一緒に暮らそうって話。無限に有効期限あるからね」


一言そう言うとオデコにキスを落とし、シャワーを浴びに部屋をでていった。