時計を見れば午前0時を回っていた。


「大変、遅くなっちゃった。早く帰らないと明日の仕事辛くなったゃうよ」


「明日は休みなんだ…今日泊まっちゃダメかな?」


慎司はやっと繋がりが出来た美空の側を離れるのが嫌だった。明日起きたとき全ては夢だった…なんてならないかと怖かった。


この数ヶ月の辛さを繰り返したくはない。


女々しい…今の自分はその言葉がぴったりかもしれないと思った。


「と、と泊まるって…それは…あの…ちょっと…布団が…」


美空は突然の申し入れに驚きとともに何でそんな事を言い出すのか分からない。


挙動不審の如くあっちこっち見渡す。


どうしよう。ここに泊まるって言われても布団なんてないし、だからって一緒に寝るなんて…で、出来ない…


「美空?クスクス。何イヤらしいこと考えてるのかなぁ~。ただ寝かせて欲しいだけなんだけど…クスクス」


「そーんなこと考えてない!!!」


真っ赤になってプイっと横を向いた美空の目線の先にはベッド…


へっ?頭をブンブンと振る。


そんな美空を見る慎司の顔は穏やかだった。


「あーもう!!勝手にして!!私はベッドで寝るから慎司さんはソファーで!」


隣で大爆笑する慎司を横目に、動揺して思わず了解の言葉を言ってしまった自分にパンチを食らわせたい気持ちでいた。


いつも慎司さんのペースに巻き込まれてばかりだけど嫌な気分はない。


それは彼を好きだから?