こんな優しさ今まで感じたことなどなかった。


私に幸せは無縁だと思っていたけど、今確かに幸せと思えてる。 


「す…好き…です。慎司さんの事…でも、私にはなんにもない。慎司さんはお医者さんで…私は…」


話の途中で慎司は優しいキスをおとした。


「関係ない。美空からは沢山のものを既に貰ってる。側にいてくれるだけでいいんだ…」


「話してないこともあるの、私」


「言ったろう?待ってるって。その時がきたら話してくれればいい。美空に対しては我慢強い男になれるんだよ」


「慎司さん…」


この瞬間を絶対に忘れたくない。


もし、もしもこの幸せが壊れることがあっても、思い出だけで生きていけるように。


「じゃ、まずはその右手の処置から始めようか?」


ニヤリと笑う慎司にイヤな予感しかしなかった。


「なっ、なななな、何するの?!」


「大切な美空の身体に跡が残らないように丁重に処置をするだけだよ」


「やだぁーーーーーー!!!」


抱き締められている腕から逃げようとしたが時既に遅し。


しっかりと慎司流の処置をされることになったのである。