今、今何て言ったの?


泣きすぎて頭がボォ~としてうまく頭が回らない。


でも…確かに今付き合ってと聞こえた気がした。


「慎司さん?今なんて…」


「う~ん、こういう事聞き返されると思わなかった…改めてもう一度言うのも恥ずかしいが…俺と付き合って欲しいんだ。お互いにお互いのこと何にも知らない。でも、そこから初めてもいいと思わないか?」


鼻を掻きながら話す慎司は、さっきまでの厳しい表情はなくなっていた。


私は何と答えていいのか分からなかった。


医者の慎司。なのに私には何にもない。釣り合う筈がない。


それに…怖かった…心を許した途端いなくなるんじゃないかと…


恭ちゃん…


返事が出来ない。嬉しいのに…慎司さんのこと好きなのに…


「少しずつ俺を知って好きになってくれればいい。今大嫌いと思っていなければ」


ニッコリ笑いながら流れ出る涙を指でぬぐってくれる。


「違うの…そうじゃないの…私…わたし…」


「ゆっくりでいい。待ってるから。美空が向き合ってくれるのを」