そのせいで傷口が開いたのかポタポタと血液が床に垂れていく。


慎司はそれでもそっと私の右手をとり、往診バックから処置道具を出し傷口を処置していく。


慎司の怒りもしない、ただ私を受け止めようとしてくれている態度に自然と言葉がでていた。


「ごめんなさい…」


涙がこぼれ落ちた。


慎司から逃げたくない。今だけだとしても、今だけは逃げたくなかった。


「会いたかった…会って謝りたかった…」


一気に心のわだかまりが解けていき声を出して泣いていた。


慎司は私をそっと抱き締め、何にも言わずただ私を包んでくれていた。




慎司は久々にあった美空に怒りも合ったが、それ以上に安堵していた。


しかし、右手には不器用に巻いた包帯。


そこには酷い傷口。なのに病院へも行かず自分で処置していたこと。


何より自分が付いていなかった事への怒りが倍増していた。


もっと早くに行動を起こせば良かったと。


なにを迷っていたのか…


泣きながら謝る美空を見て、男らしくない自分に怒り、そして腕の中に戻ってきた美空を愛おしく想う自分に誇りもわいてきた。


やっぱりどうかしたみたいだな、俺は…


そっと美空の頭を撫でながら苦笑いをしていた。