本当に私はバカ!!


冷静に考えればわかることだったのに…


慎司さんは医者だし、指だって血は結構出ていたけどあれで重症なんてありえない…


本当に私はバカだ!もう恥ずかしい…


あの騒ぎの後、落ち込んでる私にクリーニングから返ってきたワンピースを渡してくれ、下着の在処も教えてくれ…今はやっと落ち着く格好になった。


それなのに…気分は最悪で…やっと笑いの止まった慎司さんに慰められ…


「もうイヤ…」


ソファーから立ち上がるとバックを手に取り玄関へと向かった。


「美空ちゃん?」


腕を掴まれたが振りほどいて歩き出す。


「美空ちゃん!ごめん、笑いすぎたよ…怒らないで?もう少しここに居たらいいよ。違う、居て欲しいんだよ!」


そう言って目の前に立ちはだかった慎司にぶつかりそうになる。


「お礼はまた改めてします。ありがとうございました…それに…別に怒ってない…自分が…自分が情けないだけ…」


慎司の脇をすり抜けサンダルに足を入れようとしたとき、


後ろから抱き締められた、慎司さんに…


「帰らないで?もう少しここに居て欲しい…」


耳元で囁かれる低音の声に懐かしい思いが押し寄せた。


必要とされているという実感。


私を見てくれているという安心感。


暖かい人の温もりと優しい声。


「慎司さん?……」


「戻ろう……」


優しく私の手を包む彼の掌からは安堵感が伝わってきた。