黙々と朝食を作り始め、自分の行動に我ながら情けなく思っていた。


野菜を切る手にも力が入り思わず指を切ってしまう。


「!!!……」


ツーッと流れる自分の血液をみながら、こんなにも自分が情けない男なのかと苦笑いがでる。


流水で指を洗い絆創膏を取りにキッチンを出た。


意外に深く切ったのか血が止まらないが気にはならなかった。


美空の心を傷つけてしまったかもしれないと考えると怪我ぐらいなんて事なかったのだ。


「慎司さん!!!!どうしたの?!その怪我。血がすごい!早く手当しなきゃダメじゃない!」


フト気が付くと血液がテーブルに丸い水たまりを作り、アタフタと焦りながらも美空が自分の指を止血していた。


随分とボォとしていたらしい…


「重症だな…」


フッと笑うと今の呟きが美空に聞こえていたらしかった。


「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!じゅ、重症って!!!!!!き、き、き、きゅう、救急車呼ばなきゃ!!!」


美空はおもむろに立ち上がり電話を探しにオロオロしだした。


「へっ?あっ!!!違う違う!!美空ちゃん!!重症って怪我の事じゃないんだよ!!」


慌てて美空のいる窓辺へと足を運ぶ。


「そんなことないよ!血が凄いし!絶対に病院に行かなきゃ!あっ、もしかして何処かまだ怪我してるの?!」


そういって身体をペタペタと触ってくる。


最初は焦って美空の行動を止めようとしたが、あまりに焦っている美空を見ていると可笑しくて大笑いをしていた。


「アハハハハハハ。重症は美空ちゃんの方だな…アハハハハハハ」