その手は優しく、それでいて力強く握られていた。


いつも気が小さいとか言ってるけど、繋がれた手からは男らしい強さが伝わってくる。


「おかしだろう?何でか本当に分からないんだ…ただ君が気になって、君が黙って居なくなると思ったら体が勝手に動いてて…君が好きなのかも分からないんだ…」


繋いでる手を見つめながら囁くように話し出した先生。


なぜか私は落ち着いていた。告白にも近い言葉を聞いたのに。


「軽いとか思った?」


思い切り頭を振った。俯いてるせいか表情は見えない。


「普通は思うよ。僕も思うし。普段はこんなんじゃないんだよ。同僚やナースには気難しい先生で通ってるし、こんなノンビリしたしゃべり方もしないしね……」


自称気味にフッと笑う先生。


「なんていうか…その…あっ、受診にはちゃんときて!これは医者としての命令!で、僕個人としてのお願いは……その…まずは友達に…なってくれる?」


「へっ!?」


自分でも変な声が出たと自覚したけど、時既に遅し!


目の前の星野先生は大笑いしていた。


「アハハハハハ、なにその声?アハハハハハ、美空ちゃん面白すぎ!」


はぁあ?!そんな笑わなくてもいいじゃない!


「先生が変なこといいだすからでしょう!」


反撃に出ようとしたとたん、先生に抱きしめられていた。