そうだ、一度だけ母親と海に来たっけ。


確か、六歳の時だったと思う。


一緒に砂の山を作って、山にはお決まりのトンネル。そしてまたお決まりの水を流し入れる。


「ママァー見てぇー」


少し離れた場所で母親がにこやかに見守っててくれてた。


まだ無邪気で可愛かった私。


でも、いつの間にか隣には1人の男性がいた…


そうだ、あれから母親は私に笑いかけてはくれなくなった。


女になったんだ。


「お前なんか死ねばいい!」


「悪魔の子め!」


隣ではニヤつきながら見てる戸籍上の父親…


沢山殴られた。


だから全て感じない事にした。


だから何も求めない事にした。


早く大人になりたいと、たった一つの願いを胸に。