「さっきも聞いたと思うけど今は気分どう?」


どう?と聞かれても…普通…としかいいようがない。だって、今はなんともなさそうだし…


「今は全然平気。それよりもう帰れますよね?」


左手に点滴を受けていたけどそれもかまわず起きあがる。


「あっ、麗子さん!ダメだよ、点滴してるしまだ寝ててもらわなきゃ!」


麗子さん?!あっ!もしかしてお店のお客さん?


「先生…その麗子さんやめてくれません?それ源氏名。本名は美空。飯田美空(イイダミク)」


知らなかったとはいえ何だかそれで呼ばれると腹が立つ。


「ご、ごめんなさい。知らなかったから…飯田さん?」


私は満面の笑みで答える。


「何ですか?先生?」


なんだか全然医者っぽくない、この人。


一人可笑しくなって私は笑い出していた。


「どうしたの?」


戸惑ってる先生。


「なんかさ、先生ってほーんとう先生らしくないって言うか…もっと威張り腐ってると思ってたから可笑しくて」


そこで初めてネームプレートに目がいく。星野慎司。


星野慎司?ん?聞いたことあるような…
あれ?それに顔。よーく見るとどこかで見たことあるような…


あっ!ネットで見つけたんだ。循環器系の名医だって書いた合った。


接待の為に何となく調べてた。