一面真っ白な中私は1人立っていた。


昔大好きだった真っ白なワンピースを着て。


でもこのワンピースはワインをこぼされて捨てちゃったはず。


いや、その前にここはどこだろう。


私どうしたんだっけ?


辺りを見渡しても霧がかかったみたいになっていて何も見えない。


フト後ろを振り返ると霧が晴れていった。


「いったい何?」


「??!!」


あれ?恭ちゃん?


「嘘?!」


笑っていた。あの時のままただ微笑んで立っている。


「恭ちゃん?!」


私は嬉しさのあまり駆け寄ったけど、距離は縮まらない。


「恭ちゃん!行かないで!私も行きたい」


いくら走っても恭ちゃんは遠ざかって、あの時の辛さが甦ってきた。


「また1人にするの?!もう嫌だよ…恭ちゃん!恭ちゃん!」


もうほとんど見えなくなっていた。


それでも諦めたくなく、ひたすら走って…


転んで…


走って…


意識がなくなっていく。


「きょ…うち…ゃん…」


「またな…美空」


一瞬懐かしい暖かさに包まれた気がして、私は目を閉じた。