その勢いで振り向くとそこにはナースが立っている。


その顔は無表情で何を考えてるか分からない。


「ちょっといい?話があるの」


私の返事も聞かずに掴んでる腕をそのままに歩き出す。


いっ、痛い。


わざと思い切り掴んでる?


「あの、あなた、慎司さんの家に乗り込んできた人…」


さっきネームプレートに木下って書いてあった。


「離してください!」


私の言葉も無視してドンドン人気のない場所へと歩いていく。


後ろ姿から表情は見えないけど雰囲気で怒っているような気がした。


この前の様子だとまだ慎司さんを好き…多分その事で…


何を言っても無駄だと思い、そのままついていくと倉庫らしき場所へと着き、投げ出すように私の腕を放す。


「キャッ!」


勢いで前のめりに倒れそうになるのを踏ん張って耐える。


「慎司と別れてよ!あんたみたいな薄汚い女が似合うと思ってるの?!!!」


振り返り木下を見ると、鬼の形相と言う言葉がピッタリはまるくらいの顔があった。


「一時の遊び相手にしたってあんたみたいなのがウロウロしてるのは許せない!慎司の評価が下がるってもんだわ!!!」


汚いものでも見るような、蔑む表情で睨んできた。


「木下さんには関係ない。これは私と慎司さんの問題だから」


やっとの思いで言葉を口にした。