久しぶりに訪れた病院。


相変わらず受付は人で溢れかえっていた。


こんなに具合が悪い人がいるんだぁ。


そんなことを思いながら受付を済ませると、循環器科じゃなく、色んな検査に回された。


病院にきたのに具合が悪くなりにきたみたい。


もう限界…


「後どれくらいウロウロしなきゃならないの」


グチが口をついてでる。


「あと診察で終わりだろう?」


後ろから声がして振り向くと、そこには白衣姿の慎司がニコやかに立っていた。


あの日以来見ていない慎司の白衣姿。


本当にお医者さんなんだなぁ。


あの時は医者としての慎司をみていたけど、今は彼としての医者。


今目に映る慎司は頼もしいより安心できる相手で大好きな人。


「どうした?具合でも悪くなったか?」


はっとして急ぎ場屋に取り繕った。


見とれていたなんて言えない。


「あっ、あの、急に現れるからビックリして…」


「急でもないなぁ、美空が気付いてないだけで、美空が検査する場所すべてに俺はいたんだけど」


「はぁ~?」


変な声が出てしまった。


「クスクス、いわゆるストーカーな俺だ」


面白そうに笑う慎司に行き交うナースは不思議そうな顔で見つめていく。


「慎司さん。ナース達が見てるよ」


ヤバいと思い小声で慎司に話す。


「気にすることはないさ。ほら、診察室はあそこ。待合室で待ってて」


そう言いながら私の背中を押して待合室に座らせると、自分は診察室へと消えていった。