慎司は帰ってくるなり私の荷物を取りに行こうと言い出した。


昨日の私の告白を聞いて1人に出来ないと言い出したのだ。


言わなければよかったのかとも思ったが、慎司がちゃんと私と向き合ってくれてる事への感謝の気持ちもあった。


「あっ、でもカレー作ったんだよ?食べてから
…」


「はぁ?!料理したの?その手で?傷口が開いたらどうするんだ!」


「大丈夫だよ。指先は動かせるしユックリやったから」


「まったく…美空、無理するなと言っただろう…」


まったくとは私の方がいいたかった。こんなに過保護にされてはたまったもんじゃない。


でも悪い気はしなく、そのせいで慎司の説教をニコニコと聞いていた。


「あのなぁー、何で笑ってきいてるわけ?これでも怒ってるんだ、俺は!」


「笑ってないよ?おとなしく慎司さんの説教聞いてるし」


「せっ、説教?!」


「違うの?」


はぁ、こりゃ、一緒に暮らしたらいつも説教ジジィになってるな、俺は。


「ハハハ、何て笑えないけど、折角だからカレーを食べてから行くとしよう。ここで暮らすことに反対しないのは了承の意味なんだろう?」


「うん」


本当は反対したい。でも慎司のあの勢いを覆すことは無理だと判断した。


少しだけ、少しだけの夢ならいいよね?