「もしもし?慎司さん?」


『おとなしく家にいるよな?』


「いるよ。ちゃんと洗濯もしてね。クスクス」


『よかったぁ。それだけが気がかりだったんだ。キッチンに何かはあるから朝もお昼もちゃんと食べてて』


「うん。あっ!掃除機ってどこにあるの?何にもやることがなくて暇なの…」


『クスクス。掃除はいいよ。勝手にやってくれる賢いのを飼ってるから。クスクス』


飼ってる?動物なんていたっけ?


辺りをキョロキョロと見回してもなんにもいない。


「飼ってるって何?なんにもいないけど…」


『取りあえず掃除は大丈夫だから。暇なら昼寝とかゲームとか好きにやってていいよ。あっ、呼ばれてるからまた連絡する。じゃあ』


電話はきれた。


「昼寝って…おばあちゃんじゃないんだから…キャッ!!」


足に何かがぶつかってきて飛び上がった。


そこに居たのは…アイロボット…自動掃除機?


「やだぁ、クスクス、飼ってるってこの子だったんだ、クスクス」


動きを見てると可愛い。


ソファーに座りながら目で追う。


広いリビングをせわしなく動き、一通り終わると自分の場所へと戻っていく。


はぁ、これで本当にやることがなくなったなぁ。


ソファーの上にゴロンと横になる。


高い天井を見上げ目を瞑ると目眩に襲われた。


最近目眩が頻繁にある。慎司には悟られないようにしたい。また心配をかけたくない。


そっと目を瞑りウトウトと眠りに入った。