「だめ…聞いて……私ね、私……私……襲われたの……それで家を飛び出した……」


美空の心が泣いてる。涙は出ていなくても伝わってきた。


「きた……汚い……私…私…汚いの………」


「美空!!美空は汚く何てない!!綺麗だよ……心も、身体も…汚れてなんかない」


目を見つめて言い聞かせるものの美空の瞳は何も移していなかった。


見てるのは過去の記憶。


「美空!落ち着いて俺を見るんだ!」


「ハア、ハア、ハア、」


ヤバい!医者の目がそう判断した。


「美空!!!」


パチン!!


慎司は美空の頬を叩いた。


「ハア、ハア、し、慎司さん?……」


「美空、落ち着いて深呼吸するんだ。ユックリ」


慎司に言われたとおり深呼吸をする。


「大丈夫か?」


「ごめんなさい……」


「もう謝らなくて言い。今度謝ったらデコピンするぞ」


「ご、ごめ……」


美空は途中で言葉を止めた。


そっとバスローブを羽織られソファーへと座らせられる。


「美空?聞いて欲しい。美空は美空だ。俺の気持ちは変わらない」


慎司は言葉を続ける。


「自分を卑下してはいけない。美空は悪くないんだ。美空……」


あんな泣き虫な美空。なぜ今は泣かない。心が壊れてしまう。


美空……


今までよりも強く抱き締めた。