「うわぁ~っ!!ちゃんとした朝ごはんっ!!何日ぶり?」



鳴人が去った後、隣り続きの居間へ行くと、

そこには焼き鮭に卵焼きにご飯といった典型的な日本の朝ごはんが

キチンとちゃぶ台の上に並べられていた。


結局昨日の屋台飯もそんなこんなで食べ損なっていた私の

お腹はみっともないぐらいに、


「ぐぅぅぅぅ~~…」


と情けない悲鳴をあげていた。


腹が減っては戦は出来ぬ!

食べ物に罪はないし、せっかくの好意だ。

私はいそいそと席に着き、幾日ぶりのまともな食事にがっつく。


「美味しいィ~っ!!

 鳴人が作ったのかな?

 あんなに可愛い上に料理上手だなんて

 こりゃ、いつでも嫁にいけるねっ♪

 …あっ!鳴人は男の子だった!テへ♡」


なんて、薄っぺらい独り言を炸裂させる。


そんな事でも言ってないと、普通になんて出来ない気分だったから。



鳴人の言った事は何となく解る。

解るけど、どうしたいかなんてやっぱり今の私には解らない。


しいて言えばフェードアウトしたい気分だ…。

山神も銀狼も、鳴人も関係なかった時に戻りたい。



しかし、それもどうやら叶わぬ願い。

そんな私の浮ついた考えを読まれてか

むしろ鳴人に『逃げれませんよ』って釘をさされたのだから…。


そして…


その答えの緒を握るのは


きっとおばあちゃん…。


私にどうしろと言うのだろう?

神様というのが居るのだったら

是非ご教授いただきたい。

…が、実際私の知る神様はあんなのばっかりだ……

何の頼りにもなりはしない。


考えは堂々巡りでついには迷宮入り……



「あああああ~~~っ!!

 鳴人は、あたしが悪いみたいに言ったけど、

 悪いのはおばあちゃんじゃんっ!!」



…今の私には何の答えも出せない。

それが結論だ。


「こんな事考えてても仕方ないっ!

 後3日でお母さん達がこっちに来ちゃうよ!

 片付け、片付けっ!!」


堂々巡りな考えは身体に毒だ。

私はこれ以上余計な事を考えてしまわないように体を忙しく動かす事にした。



…でも…


解っているんだ。

遅かれ早かれ、いずれ何か答えを出さないといけない事は……


ただ、それは…

今ではない…


という事だった。