「はい??」
---今、何と??
まさかとは思うが‥‥
嫌な予感がする‥‥。
そんな不安を頭の何処かで感じながらも
無表情で近づいて来る銀狼から目が離せなくて
私は石のように固まるばかりだ。
銀狼の手が私に伸びる。
そして私のヨレヨレの浴衣を掴むと
---そのまま、ひと思いに剥ぎ取った。
「!!!!!!!!!」
私は驚きの余り、すぐには言葉も出ない。
そりゃ、そうだ。
銀狼に浴衣を剥ぎ取られた私の姿は‥
‥まさに下着姿‥‥。
頭が真っ白になるって、こういう事かもしれない‥。
そして銀狼は呆然と立ちすくむ私を
足の先から頭のてっぺんまでジロリと眺めると
「ふむ…」
と一度頷き、
表情一つ変えず言ったのだ。
「思ったより肉付きがいいんだな」
「‥‥‥‥‥」
「ほら、綺麗に着付けてやるから腕をあげろ」
「‥‥‥‥」
「おいっ!!聞いているのか??」
「‥‥‥」
「腕を上げろと言って‥‥あぐっ!!」
銀狼が言い終わる前に
私の華麗な右フックが
彼の腹に決まった。
「‥‥お‥前、何する‥‥」
「‥‥‥『何をする』‥は‥‥………こっちのセリフじゃぁぁ!!」
殴られた腹を庇うように体を丸めている銀狼に
「バッチーーーーんっっ!!」
すかさず強烈な平手打ちをお見舞いした。
「‥っんの、変態狼がぁぁぁっ!!」
握り拳を作り、次の攻撃に備える私。
「ちょ、ちょっと待てっ!!」
銀狼の懇願なんて聞いちゃいない。
彼は切れ長の金色の瞳をキョドキョドさせながら
大慌てで先程剥ぎ取った浴衣を私に羽織らせた。
そして私の肩を掴み、瞳を覗き込んで諭すように言った。
「お前、これを着たいのだろう?少し落ち着け!」
おっしゃる通りだが、
…形の整った銀狼の綺麗な顔が近い。
その距離に、心臓が一度大きくドキンっと脈打った。
ーーー反則だ。
どうやら私は銀狼の、その整い過ぎた男性的な姿に弱いらしい。