普段の自分との余りのギャップに
マジマジと鏡を見つめる私を
鳴人は嬉しそうに眺めていた。
「これ、何処にしまってあったの??」
私の問かけに満面の笑みで答える鳴人。
「奥の部屋の桐箪笥に大事そうにしまわれてたよ。
多分、真央ちゃんのおばあちゃんの若い時の物だろうね」
「‥‥」
「それだったら、お祭りに来れるでしょ??」
「‥‥‥うんっ!!」
浴衣に袖を通すなんて本当に久しぶりで
私のテンションは一揆に上がった。
浴衣に袖を通して上機嫌でクルクル周る私に
鳴人が呟いた。
「本当によく似合ってるよ。真央ちゃん。
きっと‥‥‥も喜んでくれる‥」
見事な浴衣にテンションの上がりっぱなしの私は
鳴人の漏らした呟きなど聞いてはいなかった。
「え??何??」
「ううん!なんでもない。そしたら、夕方また迎えに来るから、用意しておいてね。」
「うんっ!!楽しみにしてる!!」
そうして、鳴人は祭りの準備があるからと、
夕方6時に迎えに来る事を約束して
この場を後にした。