食事のメニューは決まっている。今日は火曜日だからサンドイッチとスープの日。あまり動かないからか、物足りないと思うことはない。
食事を終えて、部屋へと戻る。いつもの習慣で前の部屋へと行こうとして、ふと思い出した。
違う。今日から一ヶ月は違う部屋だ。
わたしは七斗くんの待つ部屋へと足を進めた。
いきなり入っていくのも失礼かと思い、ドアをノックするとはい、と七斗くんの声が返ってきた。
まるで女の子のような柔らかい声だ。
「珠理です。戻りました」
「ああ。勝手に入ってくればいいのに」
七斗くんはそう言いながらドアを開けてくれた。
この部屋に鍵はないらしい。わたしの部屋にはあったのに。
「おかえり」
七斗くんが少しだけ微笑んで言った。
「ただいま」
わたしは少し照れながら答えた。清川さん以外の人とこんな挨拶を交わすのは久しぶりだ。いや、初めてかも知れない。
「美味しかった?」
七斗くんに訊かれ、わたしは頷いた。
「今日はサンドイッチとスープの日でした。サンドイッチはハムが入っていて、とても美味しかったですよ」