いつまで、とかいつまでも、とかそんなふうに思っているわけではない。
それでも、そう思う。
このまま、七斗くんと仲良しでいたい、と思う。
「そう。珠理ちゃんがそう思えるっていうのはいいことだ」
わたしが誰かをそんなふうに思うことは今までに一度もなかった。
これが他人と関わるということなのだろうか。わたしにとって怖いだけの存在が、少しだけ変わろうとしている。
それはきっと、七斗くんのおかげなのだろう。
わたしは清川さんの部屋を出るとそのまま外へと向かった。
今日はよく晴れている。それはとても眩しい。それでも、最近は目眩がすることも少なくなった。
いつも七斗くんが隣にいてくれるからかも知れない。
「珠理?」
懐かしい声に、わたしは咄嗟に振り向いた。
そこにいたのは、オフホワイトのワンピースを着たお母さんだった。
「ああ、やっぱり。私の可愛い珠理。さあ、こっちにいらっしゃい」
お母さんはそう言いながら、両手を大きく広げた。
わたしの頭の中は、どうしてお母さんがここにいるのだろうということで一杯だった。