七斗くんと過ごす日々は、何もない。わたしたちはソファに並んで座り、テレビを観たりお喋りをしたり、時々散歩をしたり。そんなふうに時間を共有した。
それはどちらかが言い出したことではなくて、自然とそうなっていった。
これが、仲良くなる、ということなのかも知れない。
わたしがそう言うと、清川さんは微笑んだ。
「そうだね」
「七斗くんとわたしは仲良しでしょうか?」
わたしが訊くと、清川さんはどうして、と返してきた。
「そんな気がしました」
「そうだね。きっと仲良しだね」
その答えが少し嬉しかった。
七斗くんとの生活はもう半分が過ぎていた。終わってしまえば、もう会えなくなってしまうのだろうか。そんな思いがわたしの中にはあった。
誰かにたいしてそんなふうに思うのは初めてだ。
「七斗くんとはずっと仲良しでいたいです」
こんな気持ちの名前をわたしは知らない。それでもそれは、わたしの胸を温かくする。
「珠理ちゃんがそんなふうに思うなんてねえ」
清川さんは顎に手をあてながら言った。
「はい。仲良しでいたいです」