七斗くんと同じ部屋で過ごし、時々清川さんと話をする。
そんなふうにしながら日々は過ぎていき、気がつけば一週間が過ぎていた。
「外に行ってみようか」
昼食から戻ったわたしに七斗くんは言った。
「はい」
断る理由もないのでわたしは頷いた。
外、といっても場所は限られている。七斗くんも敷地内から出るつもりはないらしい。
「行きたいところはある?」
七斗くんに訊かれ、わたしは首を傾げた。
行きたいところなんて考えたこともない。それより、夏の日射しが眩しいことの方が気になった。
「花でも見に行こうか」
七斗くんは表情を変えずに言った。
「はい」
並んで庭園みたいになっている場所へと向かった。
「花は綺麗だと思う?」
幾つかの向日葵を見上げながら七斗くんが訊いた。
「綺麗だと思います。でも、眩しい」
「眩しい?」
わたしはゆっくりと言葉を探した。七斗くんはそれを待ってくれる。
「はい。花は明るいところにしかないから眩しいです」
わたしの言葉に、七斗くんはふうん、と頷いた。
「眩しい、か。明るいところは嫌い?」
わたしは首を横に振った。
「嫌いではないです。でも、少し苦手です 」