着ぐるみたちが歌って踊っている。
「これなら、怖くないでしょう?」
七斗くんが小さく微笑んだ。
「はい」
七斗くんとわたしは並んでテレビを観た。楽しい、ともつまらない、とも思わないこども向けの番組。
それでも、七斗くんは真剣な視線を向けていた。
わたしは食事以外で部屋を出ることは殆どない。七斗くんも同じようで、たいていはリビングでテレビを観ている。
わたしが食事から戻ると、七斗くんは決まっておかえり、と言ってくれた。だから、わたしもただいま、と返した。
七斗くんについてはよくわからないままだったが、嫌な人ではないということはすぐにわかった。
だから、わたしは安心して七斗くんの隣に座っていた。
七斗くんがテレビを観る横顔をわたしが見る。そんなふうにして、二日目はあっという間に過ぎていった。
報告書を書き終えて、わたしはベッドに潜り込む。
そして、羊を数える。眠るほんの一瞬前、七斗くんの顔が浮かんだ。