それから、二人で手繋いで花火を見上げた。
……やっぱり、一人で見る花火よりも、陽平と見る花火の方が輝いている、ように見える。
「……また、来ようね」
私が呟くと、陽平はすぐさま私を見て、あの満面の笑顔で頷いた。
「もちろん、花火もだけど、海とか、色んな所行こうな」
「……うん!」
「夏だけじゃなくて、ハロウィンとか、クリスマスとか、お正月とか、な」
「……うん……!」
……まだちょっと信じられない。
あの陽平がここにいて、私にこんなことを言っているなんて……!!!
やがて、花火は終わった。
……今年の夏も、終わる。
それでも、今私の隣には陽平がいるから、何も出来なかった今年の夏に後悔なんてない。
「……さ、帰るか」
「うん」
陽平の言葉に促されて、わたしは立ち上がった。
あのときと同じように、こちらに手を差し出してくる陽平。
私はあの時と同じように手をとって。
変わらない、温かい手に泣きそうになりながら、
ゆっくりゆっくり、歩き出した。
……私が泣いた、君がいた夏。
そして、君を想った、君のいない夏。
私の忘れられない、二つの夏。
……ううん、
これから創る、君といる夏も、
夏だけじゃなくて、春も、秋も、冬も。
君がいるだけで、全部かけがえのない、忘れられない思い出になる。
ひとつ、ひとつ。思い出を創っていこう。
大丈夫。私も、もうこの手を離したりしないから。
─完─