……今日ここに来て良かったと、初めて心から思えた気がする。





だからね、陽平と一緒に見たかったなんて、言わない。





……決めた。




陽平を忘れることは出来ないかもしれない。




嫌いになることも出来ないかもしれない。





でも、今のまま、陽平がいなくなったことをどこかで信じられず逃げてるだけじゃ何も変わらないから。





ちゃんと、真っ直ぐ受け止めて……そして、前に進みたい。





こう思えるようになるまでに、一年。





いつもトロくて鈍くさかった私は、ようやく、時計の針を進めそうだった。




美しい花火が、私の心に沁みてくる。




……陽平って、花火みたいな人だったな。




一見派手に見えないこともないけど、すごく優しくて。



私の中で強烈な印象とともに現れて、でもすぐにまるで夢のように消えてしまって。




それでも、温かい光で、あっと言う間に周りを明るくして。




……花火が終わると寂しくなって。




それまで明るかったから、余計に暗い夜空が切なくて。




ここの空は星の光も届かないから、暗くて、辛くて。




……それでも、夜はいつか明けるんだね。




私の夜は長かったけど──。