「陽平……」
情けなく、掠れた声で、また、君の名を呼ぶ。
会いたい、会いたいよ。
……ドンッ!
下を向いて涙を流していた私は、突然響いた破裂音に驚いて視線を上げた。
「…………!」
そこには。
去年と同じ……いや、去年よりももっと綺麗に見える、大輪の花に彩られた夜空がそこにあった。
始まったんだ……!
周りを見ると、人という人が、みんな視線を上に上げて、楽しそうに花火を見ていた。
……なんて、綺麗なんだろう。
夜空を埋め尽くす、虹色の光たち。
大きさも形も様々に、空を駆け巡る。
そして、花ひらく時の大きな音が、お腹の底に直接響いてきて、圧倒される。
……すごい。
花火って、夜空をこんなに明るく出来るんだ……!!!
何も言えず、花火を見つめる私の頬に、涙がもう一筋伝った。
不思議。君を想って流す涙なら、それすらいとおしく思える。
……私。
きっと、今日の花火をずっと忘れない。