もしかしたら休みなのかもとか、そんな馬鹿みたいな希望も捨てきれず、私は二階から駆け降り、部長らしき人に声をかけていた。
「あのっ……!」
「……はい?どうしました?」
私の方に来てくれたその人の背の高さが、髪型が、なんとなく陽平に似ていて。
私は泣きそうになりながら、聞いた。
聞いてしまったんだ。
「バスケ部の人って……ここにいる人で全員なんですか?」
部長さんはきょとんとした顔をしたあと、ゆっくり頷いた。
「そうだよ……今日は欠席者もいないし、みんな揃ってるはず」
その答えは、あまりにも残酷だった。
陽平が私に話した──この学校に通ってて、バスケ部に入っているということが、嘘だったんだという覆しようのない証拠となったんだ。
「そう、ですか……」
私はそう答えるのがやっとで。
そこからどうやって帰ってきたかは殆ど覚えてない。
気付いたら部屋のベットの上に突っ伏してて、どうしようもないくらい、涙を流してて。
そして、ただ想ったんだ。
「君は誰だったの?」……って。