……一度、このままではいけないと思い、どうにかして陽平にもう一度会おうとしたことがある。



陽平の学校の文化祭に行ったんだ。



当然人は多くて、私は陽平のクラスさえ知らなかったんだけど、そこでバスケ部が親善試合をすると偶然聞いて。





陽平ならきっとそこにいると意気込んで、私は試合場所である体育館へ向かった。





会場には沢山の人がいて、私は二階の観覧席のはしっこから、目を凝らして陽平を探した。






……どこにも、いなかった。





コートでプレーしてる人たちはもちろん、ベンチで応援している人たちも、私みたいに観覧席にいる人もくまなく探したんだけど、陽平は間違いなく、そこにいなかった。







目の前が暗くなって、息が止まるかと思った。




ここに来れば陽平に会える、そして、しっかり話を聞くんだと意気込んで来たのに。




私は足が棒になったように動けないまま、そのまま試合が終わるまでそこにいた。





初めてしっかり見たバスケの試合は、ものすごい迫力で、とても格好いいと思った。




……楽しそうにボールを操るその笑顔がなんとなく陽平と重なって、陽平のバスケをしている姿を見れたら良かったのにと思ったりもした。





会うことすら出来ないのに、それは叶うことのない、私のわがまま。







……やがて試合が終わったらしく、バスケ部の全員と思われる人たちが、体育館の中央に並んで、ありがとうございましたと挨拶をした。





そこにもやはり、陽平はいなくて。