陽平も、もしかして告白の事を思い出してんのかな?



そんな事を考えながら、待ち合わせた公園を過ぎ、さらに進む。




そして、二人でいつも来ている図書館の前まで来たとき……。




「葉月の家ってどっち?」




長らく続いていた沈黙を、陽平が破った。




「え?……あ、いや、自分で帰れるよ?」




陽平の家が図書館の近くなのは知っていたので、送ってくれるつもりだと気付いて私はそう答えた。





「……あ、そう?なら良いんだけど」





ちょっと残念そうな、陽平の顔。



え、私何か間違えた?





「そっか、じゃあ、気を付けて帰れよ」




そう言って、後ろを向いて歩いていってしまいそうだったので。




「あのっ……陽平……!」




思わず、その背中に声をかけた。




……ここで、さよならしたくない。




「何?」



ちょっと驚いた顔をして、陽平が振り返る。




絶対に呼び止めなければという理由があったわけではなかったので、とりあえず思い付いたことを言う。




「陽平……っ、えっと、今日は本当にありがとう!楽しかった……!」




「さっき聞いた。……でも、ありがとう、俺も楽しかった」



陽平は笑いながらそう言った。




「あ、あとね、それだけじゃなくて……えっと……その……」





言葉を濁す私を、陽平は当惑したように見つめる。




言いたい言葉はたったひとつ。なのに、なかなか言えない。




私は、視線を上げて、しっかりと陽平を見る。