それに、陽平と回れるんだから、私のテンションは上がるわけで。
「葉月はたこ焼き食べたいんだっけ?」
「たこ焼き?」
当たり前のように言われて、私は一瞬首をかしげる。
……あ、そうだ、あの日、私たこ焼きを食べようとしてあの人たちに絡まれたんだ。
「……え、でも、何で?」
確か、陽平にそれを言った覚えはないのに。
「いや、葉月、たこ焼き屋の前で絡まれてたし、なんかちょくちょくそっち見てたから」
……うーん、若干理由が私にとって情けないでもないけど。
それでも、陽平ってよく見てるなぁ、と思う。
「よく覚えてるね……!」
そう、私が言うと、
「葉月の事だからな」
まるで何でもないようにさらっと、陽平はそう言った。